Profile
中山 玲佳 Reika Nakayama
1974 | 大阪生まれ |
2000 | 京都市立芸術大学大学院美術科絵画専攻油画修了 |
2002/4-5 | フランス、パリのCITE International des Artesに滞在 |
2003/8-2004/7 | ラテンアメリカ協会、日墨交流計画の研究生として、メキシコに滞在 |
2005/8-2007/6 | メキシコ政府の奨学金を得、メキシコ国立自治大学大学院美術学部版画専攻在籍 |
2014- | 神戸芸術工科大学アート・クラフト学科 教員 |
2024- | 神戸芸術工科大学芸術工学教育センター 教員 |
私は、日常と非日常、現実と夢、外側と内側の関係性に着目すると同時にその両義性に興味があります。
独自のカラフルな色彩と黒の組み合わせで画面に大胆な対比を保たせながら、
黒いつや消しの絵具の上に鉛筆を重ねる矛盾した手法や線描による繊細な作業がもたらす視覚的効果を用いて、
そこに見える不明瞭な様と思考の繋がり、またそれらが混在する世界を描こうとしています。
この行為はこの世界のありようを俯瞰するために、今のところ私にとって必要な知恵をもたらすと考えています。
メキシコより
中山玲佳の原点の一つ。それは7年間留学したメキシコにある。
大学院を修了し2年間講師を務めた後、アートから逃げようと長旅へ。その入り口がメキシコだった。
メキシコに着いてみると英語がまったく通じない。南米に入る前にメキシコでスペイン語を勉強しているうちに、気がついたら作品制作している友だちがどんどん増えていた。……で、結局アートから逃げられなくなった。
メキシコで生活した7年間に感じたメキシコ人の人間性や雰囲気。その明るさと同居する侵略された歴史と暗い影。現実と幻想、現代性と土着性が混在する世界。そんな二面性がここ数年の作品に一脈相通づるものがある。
2枚のカンヴァス
シリーズに2枚のカンヴァスを一つにした作品がある。
そのスタートは2008年に制作した《yume-utsutsu / Half-dreaming》という作品。
左側は細胞というか、右の鹿の内部というか、つまり左が内部で、右がその表面に見えるもの。カンヴァスが2枚になっているのも、この二つの組み合わせを強調するため。
カラフルな背景に『黒に黒』で描く真逆の手法は、矛盾することを一つの画面にするということに興味があったから。言葉では矛盾することが一つにつながっている。
無意識や直観、偶然
最初に描いた2枚のカンヴァスシリーズ。
その作品を見たメキシコの友人は、「左側の細胞みたいなのが、ペヨーテの断面みたいに見える、で、ペヨーテを食べたら幻覚作用があって、シャーマンと一緒に山に登ったりする、その道筋を教えてくれるのが鹿なんだ。」という。
ペヨーテの存在は知っているが、その話は知らなかった。メキシコをイメージして描いたことがその偶然につながったのかもしれない。
無意識から生まれる偶然。作品を制作するときの無意識、直観、偶然を大切にしたい。
(Clippin Jam インタビューより一部抜粋)
個展
2024 | 中山玲佳個展 | sumikov ショップギャラリー |
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2022 | 「交錯する日常-Intertwined daily life」 | MORI YU GALLERY 京都 |
2020 | 「夜空の物語ーNight sky story」 | MORI YU GALLERY、京都(個展会期:2020.9/25~10/18) |
2019 | 「Portraits」 | Galeria Ramón Alva de la Canal , Xalapa MEXICO / ベラクルス州立大学ギャラリー、ハラパ市、メキシコ |
2017 | 「out of」 | MORI YU GALLERY、京都 |
2017 | 「ゆれる風景」 | MORI YU GALLERY、京都 |
2015 | 『シカになったシバ』原画展 | Pinpoint Gallery、東京 |
2014 | 「The morning star -明けの明星 -」 | MORI YU GALLERY、京都 |
2013 | 「Being near and far」 | 第一生命南ギャラリー、東京 |
「A stellar hill – 星の丘」 | MORI YU GALLERY TOKYO、東京 | |
2012 | 「A stellar hill – 星の丘」 | MORI YU GALLERY KYOTO、京都 |
「LINKING・ZOOMING・FLOATING 」 | 枚方市立市民ギャラリー、大阪 | |
「Sleeping diary – 楽園へ-」 | MORI YU GALLERY KYOTO、京都 | |
2011 | 「Sleeping diary – 眠った日記」 | 六本木ヒルズ A/D GALLERY、東京 |
2010 | 「振り返る。とその向こうに」 | MORI YU GALLERY KYOTO、京都 |
「振り返る。とその向こうに」 | MORI YU GALLERY TOKYO、東京 | |
2008 | 「yume-utsutsu」 | MORI YU GALLERY TOKYO、東京 |
2006 | 「Distancia」 | MORI YU GALLERY、京都 |
2005 | 「Dormir-眠」 | MORI YU GALLERY、京都 |
2004 | 「VACIO」 | 在メキシコ日本大使館広報文化センター、メキシコ |
2003 | 「FALDA」 | Masmedula galeria、メキシコ |
グループ展
2023 | 神戸芸術工科大学✕ベラクルス州立大学2014-2023芸術交流展 | 神戸芸術工科大学 ギャラリー・セレンディップ、兵庫 |
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2023 | VOCA30周年記念 1994-2023 VOCA 30 YEARS STORY / KOBE展 | 兵庫県立美術館王子分館 原田の森ギャラリー、兵庫 |
2023 | スマエルアートプロジェクト壁画制作 | 西宮市今津、兵庫 |
2023 | 京都市立芸術大学キャンパス移転整備支援 京都芸大同窓会アートオークション 2023【Hand On】 | 京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(堀川御池ギャラリー全館) |
2022 | 「VOCA 30 Years Story/Tokyo」 | 第一生命日比谷本社ビル1Fロビー、東京 |
2022 | 瀬戸内国際芸術祭2022 県内周遊事業 瀬居島アートプロジェクトby神戸芸術工科大学 作品「しましまのうみ2022」 | 坂出市瀬居町北浦防波堤、香川 |
2021 | 「対話-Dialogue-2021」アート・クラフト学科企画展 | 神戸芸術工科大学 ギャラリー・セレンディップ、兵庫 |
2021 | 「constellatio 星々と小さな屋台の世界」 | C.A.P./KOBE STUDIO Y3, 海外移住と文化の交流センター3F、兵庫 |
2020 | 「しんきんグ of ART」神戸芸術工科大学アートプロジェクト | 高松信用金庫 旧坂出支店 香川 |
2020 | 「コレクション 現代日本の美意識」 | 国立国際美術館 中之島、大阪 |
2019 | 「5BAN 冬の作品展 ブローチ」 | ギャラリー5BAN、 兵庫 |
2019 | 「Proyecto Bosque de Niebla/ JAPOMEX メキシコハラパ壁画プロジェクト」 | Xalapa, MEXICO ハラパ市、メキシコ |
2019 | 瀬戸内国際芸術祭 県内連携事業 神戸芸術工科大学アートプロジェクト2019 作品「しましまのうみ」 | 坂出市瀬居町北浦防波堤、香川県 |
2018 | 「アートの力、クラフトの夢」 | 神戸芸術工科大学 ギャラリー・セレンディップ、兵庫 |
2018 | 「VOCA展25周年企画 ALL VOCA賞」 | 第一生命本社ビル1F |
2017 | 「神戸芸術工科大学×メキシコベラクルス州立大学 日墨交流展」 | Fernando Vilchis ギャラリー メキシコベラクルス州立大学造形美術研究所内 |
2016 | 「BIB50周年ブラティスラヴァ世界絵本原画展-絵本の50年 これまでとこれから-」 | うらわ美術館、千葉 |
「いまそこにある風景」 | 神戸芸術工科大学 ギャラリー・セレンディップ、兵庫 | |
瀬戸内国際芸術祭2016 /作品「Las Islas-しま・しま-」 沙弥島アートプロジェクトby神戸芸術工科大学で参加。 | 旧沙弥小中学校、香川県 | |
2015 | 第25回ブラティスラヴァ世界絵本原画展2015 | BIBIANA, International House of Art for Children, ブラティスラヴァ市、スロバキア共和国 |
2014 | 「いきものワンダーランド」 | 神戸芸術工科大学 ギャラリー・セレンディップ、兵庫 |
「GARDEN -CRYSTAL HAZARD-」 | MORI YU GALLERY TOKYO | |
2013 | 「GIFT ~大切な子供たちへ贈るアート~」 | スフェラ・エキシビション、京都 |
2012 | 京都美術・工芸ビエンナーレ2012 | |
「京都府美術工芸新鋭展」 | 京都文化博物館、京都 | |
「コレクション展」 | 国立国際美術館 中之島、大阪 | |
「第一生命ギャラリー所蔵作品展」 | 第一生命南ギャラリー、東京 | |
「NEVER ENDING CONSTRUCTION」 | AKI GALLERY, Taiwan | |
「New Contemporaries」 | 京都市立芸術大学ギャラリー @KUCA1,2,Gallery B | |
2011 | 「Undulationism」 | MORI YU GALLERY KYOTO |
現代美術の展望「VOCA展2011 -新しい平面の作家たち-」 | 上野の森美術館 、東京 | |
2010 | 「絵画の庭-ゼロ年代日本の地平から」 | 国立国際美術館 中之島、大阪 |
2008 | Bunkamura Art Show 2008「恐れから親しみへ」 | Bunkamura Gallery、東京 |
「百花京乱」 | MORI YU GALLERY KYOTO 京都 | |
「BLUE GARDEN」 | MORI YU GALLERY TOKYO 東京 | |
2007 | 「EXPO Generacion 2005-2007」 | Academia de San Carlos ENAP-UNAM、メキシコ |
「Exposicion colectiva Japon」 | Mexico Japonla Galeria cafe HIRVANA, メキシコ | |
「Primere muestra de grafica international de academia」 | Casona de la estacion ミチョアカン州、シタクアロ、メキシコ | |
「Exposicion colectiva」 | 在メキシコキューバ大使館、メキシコ | |
「Los Takatakas」 | 在メキシコ日本大使館広報文化センター、メキシコ | |
2006 | 「Vision Contemporanea」 | Galeria Tnonalii del Centro Cultural Ollin Yolizti、メキシコ |
「Juntas y revueltas/mujeres en la plastic mexicana」 | メキシコ市立美術館 | |
2005 | 「Date tinta/grabado urbano」 | メキシコ市立美術館 |
「錦市場でフィレンツェを探そう vol.2」 | 錦市場、京都 | |
「錦市場でフィレンツェを探そう」 | 錦市場、京都 | |
「Lost something?」 | MORI YU GALLERY、京都 | |
2004 | 「The garden of yellow」 | MORI YU GALLERY、京都 |
2003 | 「Mujeres de Japon en Mexico」 | Mexican Art Academy、メキシコ |
2002 | 「Presencia de Japon en Mexico」 | el Casa del Lago、メキシコ |
「04 Mexico」 | Chopo 美術館、メキシコ | |
2001 | 「The library video exhibition」 | ギャラリーそわか、京都 |
「Drowing 2001/part1」 | ギャラリーそわか | |
2000 | 「Oneday Gallery Project」 | ギャラリーそわか |
アートフェア
2022 | 「Art Fair Tokyo 2022」 | 東京国際フォーラム、東京 |
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2019 | 「ART OSAKA 2019 Exhibition PLUS Room#6126」 | ホテルグランビア大阪26F、大阪 |
2013 | 「Art Stage Singapore 2013」 | Marina bay sands、シンガポール |
2008 | 「A@A at Agnes 2008」 | Agnes Hotel and Apartment、東京 |
2007 | 「アートフェア 東京美術倶楽部」 | 東京 |
「Art in Dojima Osaka 2007」 | 堂島ホテル、大阪 | |
「ART FAIR TOKYO 2007」 | 東京国際フォーラム、東京 | |
「A@A at Agnes 2007」 | Agnes Hotel and Apartment、東京 | |
2006 | 「Art in CASO 2006」 | 海岸通ギャラリーCASO、大阪 |
2005 | 「Art in CASO 2005」 | 海岸通ギャラリーCASO、大阪 |
「ART FAIR TOKYO 2005」 | 東京国際フォーラム、東京 |
その他
2017 「宙フェス2017 ー上を向いて遊ぼうー」装飾協力
2023.5.3 レイカナカヤマオオイニカタル会アーティストトーク@sumikovギャラリー
コレクション
国立国際美術館
第一生命保険株式会社
受賞歴
VOCA賞(2011)
受賞作品「或る惑星」
外から内へそしてまた外へと繋がる世界
時々ふと、晴れた日のただただ青いメキシコの空を思い出す、そして日常だったことが非日常になっていることを漠然と感じる。
なぜメキシコに渡ったのかという質問をよくされ、どこでもよかったがただ自分の肌にあっていて長居したと答える自分がいた。今でも「なぜか」はまだわからない、ただ、メキシコにいたというその事実は私の中に「穴」として残っているのである。
7年近くいたそこから帰ってきて、しばらくはなんとなくよくわからない日々だった、よくある話だ。しかしそのメキシコの「穴」のおかげで、少しずつ描きたいものが見つかり出した。「穴」を行ったり来たりして進みながら描いていくことをしばらく続けてみようと思った。おそらくそれで、「Safarism」というタイトルの絵が何点か出来たように思う。或る意味「探検」的な感覚だ。今回の「或る惑星」もその中から出てきたもの。
それは、私の中にある「穴」への探検。その穴はどこかに繋がっているかもしれないし、そのうち塞がってしまうのかもしれない。ただ今のところはまだ先があるようだ。
日常と非日常、現実と夢、外側と内側の関係性を考えるときに、なにかしらの手がかりになりそうな気がするこの行為を、もう少し続けてみようと思う。
(受賞コメントより抜粋)